Calcio café

サッカー及びフットサルについて思ったことを書きます。

なぜバルサはユーベに敗れたのか

先日のCL準々決勝1st legで14-15決勝と同カードで試合が行なわれた。スペイン第二の都市、カタルーニャ州の雄バルセロナ対イタリアの覇者ユベントスである。前回は一発勝負だったが今回はホーム&アウェイの計2戦。戦術だけでなく戦略も必要である。

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今回はバルセロナの敗因、ひいてはユベントスの勝因を探っていきたい。

 

                              布陣&基本戦術

ユベントス                                         

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バルセロナ              f:id:usuk1205:20170414212849j:image

(Goal LIVE より引用)

 

まずユベントス側の説明から。

この試合、ユベントスは ”ファイブスターズ” と呼ばれる最近セリエで猛威を振るっている超攻撃的布陣で臨んだ。アッレグリ監督はこのことを事前に説明していた。これはバルセロナと真っ向から戦うという意思表示であり、またサイドから試合を攻略するという決意表明でもあった。

 

この戦術における攻撃でカギとなるのは2列目の3人である。ただし中央のディバラ、右のクアドラードの2人とマンジュキッチは少し役割が異なる。前者2名は主にカウンターとサイドアタックを組み立て、マンジュキッチはターゲットと攻守のバランサーのタスクを担う。

 

このチームの攻撃は基本的に右サイドに偏っている。このユーベの右サイドからの攻撃を防いだ時、3バックのバルセロナとしてはMSN(メッシ、スアレスネイマール)に”確実に”早くボールを渡してカウンターを狙いたい。そしてその確実性を高めるためには (当たり前だが)精度の高いロングボールを送るか中盤に預けて運ぶかの選択肢を取ることになる。

この試合、ユベントスは試合開始から積極的にプレスを仕掛けていた。その激しさ、徹底ぶりは最前線のイグアインバルセロナのGKであるシュテーゲンにまで圧をかけていたことが示すだろう。

この高密なプレスにより3バックのバルセロナのDFはポジティブなパスコースを見つけることが出来なくなっていた。自陣後方でボールを辛うじて繋ぐか、精度の低いロングボールを入れるか。いずれにせよ効果的な攻撃はできていなかった。これがユーべの最初の狙いであり、前線に関しての基本戦術であったと思う。

 

続いてバルセロナが何を狙ったのかについて。

 エンリケ監督のバルサは基本的にMSNの爆発力がそのままチーム力に直結する。グアルディオラ時代の”ティキタカ”は素地としては残るものの戦術に通底するものではなくなっている。たらればの話になるが今回の試合、相手がグアルディオラバルサであったならユベントスはこう簡単に勝てなかったであろう。

 

MSNが最前線で即興的な攻撃を奏でられれば最高、それが無理ならメッシ、ネイマールが2列目に降りて数的優位を作り、ゲームを組み立てる。ここにイニエスタが加わるといえば大体説明がつく。

 

またPSG戦での大量失点を見ても想像に難くないようにバルサの守備はかなり甘く自陣ペナルティーエリア付近においてすらマークのズレ、ボール保持者へのチェックの遅れがよく生じる。

 

バルサが失点をしないためには攻撃力による抑止が必須でそれゆえにMSNのユニットに戦術的重点を置いている。

 

                   ユベントス優位の予兆

 バルサのウィークポイントはブスケツの不在、マシューの適合性の低さであった。

 

まずブスケツの不在

この選手がいないことによりバルサは後方からボールを繋げなくなる。

中盤と最終ラインを繋ぐチームの心臓。ブスケツがいればユーベの1点を取るまでの猛プレスはあれほどはまらなかったはずである。まあブスケツが居るならそもそもアッレグリ監督はあの策を採らなかったと予想されるが。

チームの心臓がいないことによる被害はそれだけでは収まらなかった。中盤の機能不全を人数で補うため、メッシとネイマールウイングバックの位置まで降りてくるようになる。有利な状況でそうしているのなら他の選手が前に出ていけるのだが今回はそうはいかない。前線にはスアレスだけが残り、MSNは力を発揮出来なくなった。

 

次にマシューの機能不全である。

そもそもなぜアルバでなくマシューを選んだのか。これは推測だが、恐らくクアドラードの身体能力に対応するためであろう。だがマシューではその面でも役不足であった。前半の最後の方は拙くも攻撃参加をしたシーンがあったがそれを除いてはパスをカットされかける、ポジショニングが悪く味方のパスワークを補助できていないなど効果的であったとは言いづらい。比較優位で無難にアルバを選択していたほうが良かったのではないかと思う。

 ユベントスが実力で上回ったというよりは作戦勝ちであろう。

 

                     1点目が全てを決めた

絶好調のバルサならともかく、ブスケツを欠いたバルサ相手には1stレグで勝つということだけを考えると”取りに行く”のは1点で充分だったはずだ。

 

ディバラが絶妙な体幹を魅せた1点目は前述のプレス戦術をかけ始めて7分で生まれ、そこからは真綿で首を絞めていくだけの展開となったからだ。

 

先制点を奪ったのを境にユベントスはプレッシングの手を少し緩め、中盤と最終ラインに網を張った。バルサブスケツの穴を数で埋めるため、スアレスを残してDF以外は中盤に吸収された。スアレス以外に常時見張るべき相手がいなくなったユベントスのDF陣は余った人員を割いて更に強固な壁を最終ラインに作った。

60年代のインテル/エレーラ監督によるカテナチオを彷彿とさせる鉄壁の守備が完成した。

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 ここからユベントスがやるべきことは一つ。バルサを掌で転がし、機を見て反撃。合計180分の戦いの後半へ向けて点を蓄積するだけだった。

 

そして90分で計3点を奪い、完封した。

 

ユベントス3-0バルセロナ

 

ユベントスの完勝と言えよう。

しかし次戦はブスケツが出場するため、バルサは1stレグとは全く違うチームになる。また会場はPSG戦の大逆転劇が起こったカンプ=ノウ。ユベントス側としては十二分に警戒して然るべきであろう。

 

 とは言え私はユベントスがベスト8で姿を消すとは思わない。鬼才アッレグリ監督がまた何らかの対応策を用意するはずだ。

近い内に2nd legをどう戦うべきかについての考察を行いたいと思う。